炎の中で溶けたカメラ ─ 災害体験VRは、あの日生まれた
- 広報SC

- 2 日前
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このプロジェクトの出発点は、岡山市消防局予防課の方からいただいた一つの相談からでした。 「防火・避難の広報にVRを使えないか。さらに、メタバース空間で擬似的に火災を起こし、体験者の行動ログを取り、火災に遭われた方の行動を行動心理学の観点から解析できないか」─そんな問いかけです。
ご一緒するなかで、私たちは消防士の方々の仕事に触れる機会を持ちました。 命をかけて救助と消火にあたり、日々、極限まで訓練を重ねながら、火災予防を広く市民に指導していく。 その行動や意識の高さ、根底にある強い思いは、理屈だけで語り尽くせるものではありません。 私たちは、消防士の皆さんの静かな、しかし確かな覚悟に触れた気がしました。
だからこそ、こう考えました。
私たちにできることはないか。 防火・防災を前に進めることで、命を削って市民を守る消防士の皆さんの負担を、少しでも減らせないだろうか。
火災そのものを減らせないだろうか。
共同研究のなかで芽生えた、私たちの正直な思いです。
そもそも私たちの研究支援事業は、研究者・指導者・教育者の方が積み上げた研究や、その頭の中にある思考のイメージを「視覚化」し、「体験」として他の人へ手渡すことを根幹に置いています。 この災害体験VRも同じ発想から生まれました。 防災について研修や指導を行う方が、貴重な時間を割いて、「わからない人にはわかるように」「わかるけれど動けない人には動けるように」、そしてその人たちが今度は誰かに教えられるように─、自助・共助の連鎖をつくるために日々尽力していること。 そういった指導を行う方に向けて開発したツールです。
この白獅子の災害体験VRは「教え、導く人」に照準を合わせています。
指導・教育に特化したデザインと設定、そして現場の狙いに合わせてカスタマイズできる仕組みを備えているのはそのためです。
そして最初に導入を行ったのも岡山市消防局でした。 これは行動分析の共同研究とは別に、実際の防火・防災啓発の現場で、災害体験VRが使っわれた、私たちにとって最初の一歩です。 研究で得た知見を、市民一人ひとりの意識を変える現場へと届ける─。
そこから導入は広がっていきます。 広島県での展開に続き、代理店を通じて大阪市、浜松市をはじめ、数多くの自治体へ。今では140カ所を超える場所で活用され、累計で13万人近い人々に体験を重なうことができています。 しかし、私たちが本当に届けているのは、機材でも映像でもありません。 そのすべては、教え、導く人のためにあります。 VRを手に地域の人々の前に立ち、言葉を尽くし、意識を変えていくのは、指導者の方々自身です。 その一人の行動の先で、何十人、何百人もの人が災害から守られていく。 私たちは、その連鎖の入口を支えているにすぎません。
原点にあるのは、変わらず一つの願いです。 命をかけて市民を救う消防士の皆さんの負担を減らしたい。そのために火災を減らしたい。 その他、自然気象災害についても、一人でも多くの方が緊急時に冷静な判断ができる様に、「わかる」を「できる」にしたい。 そうやって人の命を救うために自分の命を削る人たちの負担を、一箇所でもリスクを、減らしたい。 この思いから開発し、発信し続けています。
私たちには、東京都品川区に常設されているインタラクティブ型・防災教育VRをUnreal Engineで開発した実績もありました。 劇場用映像やゲーム開発で培ってきたCG・開発力を、この事業にそのまま注ぎ込んでいます。
それぞれの災害、それぞれの出会い ─ 私たちが担うのは「支えること」
火災だけではありません。 地震や津波といった自然災害、土砂災害や風水害といった気象災害、そして医療・災害医療。私たちはそのひとつひとつに、それぞれの出会いを通じて関わってきました。
そこにはいつも、研究者・教育者・指導者の方がいます。 私たちの仕事は、その方々を助けることです。 結果として多くの人が災害から守られていく─。けれど、それを本当に成し遂げているのは、指導し、研究し、教育してきた方々自身の思いと情熱です。 私たちは、それを支えたにすぎません。
強い思いを持った人を支えること。
それが私たちの役割だと考えています。
だからこそ、その一人ひとりの狙いに合わせた特化した開発を行います。
そして支えるうえで大切なのは、開発技術だけではありません。
開発の進め方そのものを、相手の状況に合わせて柔軟に組み立てられることを、私たちは強みにしています。
実務的な面での柔軟さも含めて、無理なく続けられる形を一緒に探します。

写真は、溶け落ちてなお、レンズは正面を見据えていた。─「茂木家屋燃焼実験」災害体験VRは、この一台から始まりました。 その時、撮影されたVR360度動画は、こちらです。 ▷ 岡山市消防局「模擬家屋燃焼実験」 ▷ 災害体験VRについては、こちらからご覧ください。




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