正常性バイアスを超えて―災害体験VRによる行動変容の実証と教育研究の可能性
- 広報SC

- 9月25日
- 読了時間: 3分
今年度、例年以上に多くの自治体・企業・教育機関から弊社の災害体験VRをご利用いただいています。
その広がりの背景には、「ただ知識を得るだけでは、人は災害時に動けない」という課題があルト考えています。実際に多くの人が避難を遅らせてしまう心理的要因――正常性バイアス――をどう乗り越えるか、私たちがVRの開発・提供を続ける使命があります。 災害時に多くの人が避難を遅らせる要因として「正常性バイアス」が広く知られています。「自分だけは大丈夫」「まだ避難しなくてもよい」という判断が、致命的な結果につながるケースは、過去の大規模災害でも繰り返し報告されてきました。
弊社では、この課題に対し XR(VR/AR)と3DCGを駆使した災害体験VR を開発。心理的抵抗を軽減し、避難行動を実際の「習慣」へとつなげる教育的アプローチを追究しています。
行動変容をもたらすVRの設計
当社のVR教材は、以下の要素を統合的に設計しています。
感覚刺激による没入:劇場用映画、コンシューマーゲーム機用ソフトウェア開発の技術と経験を活かした高精細なCGで再現、現場にいるかのような緊張感を再現。
行動プロセスの体験:避難経路の確認、意思決定の瞬間をシナリオ化も可能。
行動定着の支援:体験後に振り返りやディスカッションを導入し、意識変化を習慣化へ。
これらの要素により、単なる知識習得ではなく「認知 → 行動 → 習慣化」という行動科学に基づく効果が確認されています。
実証と共同研究の展開
愛媛大学との共同研究
西予市において、津波避難VRを住民・学生と共に制作中。
制作過程に若年層が参画することで、地域固有の防災知識を再発見し、教育効果をデータとして可視化。 ▷ 詳細は、こちらからご確認ください。
龍野北高校との共創プログラム
高校生が地域の災害を再現しVR化。
完成したコンテンツを地域住民と共有し、世代間の防災対話を促進。
研究会・展示会での検証
ぼうさいこくたいin新潟、大阪万博「未来航路」、金沢大学病院での環境ワンヘルス研究会などで発表。
教育心理学的効果、災害医療教育への応用可能性を広く共有。
災害医療教育への応用
災害体験VRは、防災教育にとどまらず、災害医療の分野でも活用が進んでいます。
感染症対策VR
岡山大学病院感染症内科・感染制御部と共同開発。
手指衛生遵守率の向上を実証し、院内感染防止教育に活用。
薬局地震VR
医療提供体制の混乱を再現し、薬剤師や医療従事者が冷静に判断する訓練を支援。 ▷ 詳細は、こちらからご確認ください。
研究支援と再現性
私たちは、以下の内容を実践しています。
過去の災害データや現地調査に基づく再現性の高いシナリオ設計
専門家の知見をVRに反映させる「翻訳者」としての役割
XR・3DCG・ソフトウェア開発の総合力による、短期間での教材開発
正常性バイアスを克服するには、単なる知識普及では不十分だと考えています。 災害体験VRは、研究データと教育実践を結びつけ、行動変容を実証するVR型教材です。
今後は、国内外の研究機関との連携をさらに強化し、「多くの人が災害発生時、冷静に判断が出来る社会」を実現するためのモデルを世界へ発信してまいります。




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