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正常性バイアスを超えて―災害体験VRによる行動変容の実証と教育研究の可能性

今年度、例年以上に多くの自治体・企業・教育機関から弊社の災害体験VRをご利用いただいています。

その広がりの背景には、「ただ知識を得るだけでは、人は災害時に動けない」という課題があルト考えています。実際に多くの人が避難を遅らせてしまう心理的要因――正常性バイアス――をどう乗り越えるか、私たちがVRの開発・提供を続ける使命があります。 災害時に多くの人が避難を遅らせる要因として「正常性バイアス」が広く知られています。「自分だけは大丈夫」「まだ避難しなくてもよい」という判断が、致命的な結果につながるケースは、過去の大規模災害でも繰り返し報告されてきました。

弊社では、この課題に対し XR(VR/AR)と3DCGを駆使した災害体験VR を開発。心理的抵抗を軽減し、避難行動を実際の「習慣」へとつなげる教育的アプローチを追究しています。

行動変容をもたらすVRの設計

当社のVR教材は、以下の要素を統合的に設計しています。

  • 感覚刺激による没入:劇場用映画、コンシューマーゲーム機用ソフトウェア開発の技術と経験を活かした高精細なCGで再現、現場にいるかのような緊張感を再現。

  • 行動プロセスの体験:避難経路の確認、意思決定の瞬間をシナリオ化も可能。

  • 行動定着の支援:体験後に振り返りやディスカッションを導入し、意識変化を習慣化へ。

これらの要素により、単なる知識習得ではなく「認知 → 行動 → 習慣化」という行動科学に基づく効果が確認されています。

実証と共同研究の展開

  1. 愛媛大学との共同研究

  2. 龍野北高校との共創プログラム

    • 高校生が地域の災害を再現しVR化。

    • 完成したコンテンツを地域住民と共有し、世代間の防災対話を促進。

  3. 研究会・展示会での検証

    • ぼうさいこくたいin新潟、大阪万博「未来航路」、金沢大学病院での環境ワンヘルス研究会などで発表。

    • 教育心理学的効果、災害医療教育への応用可能性を広く共有。

災害医療教育への応用

災害体験VRは、防災教育にとどまらず、災害医療の分野でも活用が進んでいます。

  • 感染症対策VR

    • 岡山大学病院感染症内科・感染制御部と共同開発。

    • 手指衛生遵守率の向上を実証し、院内感染防止教育に活用。

  • 薬局地震VR

研究支援と再現性

私たちは、以下の内容を実践しています。

  • 過去の災害データや現地調査に基づく再現性の高いシナリオ設計

  • 専門家の知見をVRに反映させる「翻訳者」としての役割

  • XR・3DCG・ソフトウェア開発の総合力による、短期間での教材開発


正常性バイアスを克服するには、単なる知識普及では不十分だと考えています。 災害体験VRは、研究データと教育実践を結びつけ、行動変容を実証するVR型教材です。

今後は、国内外の研究機関との連携をさらに強化し、「多くの人が災害発生時、冷静に判断が出来る社会」を実現するためのモデルを世界へ発信してまいります。

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