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毎年同じ防災訓練になっていませんか?―「いつも通り」の訓練に、もう一つの視点を―

11 分前
読了時間: 6分

「いざとなれば大丈夫」という言葉

地震が起きたら机の下に隠れ、揺れが収まったら決められた場所へ避難する。

学校や地域で、こうした防災訓練を経験したことがある方は多いのではないでしょうか。

私自身、幼い頃から何度も防災訓練に参加してきました。

机の下に隠れ、先生の指示に従って校庭へ移動する。地域では、近所の方々と避難場所まで歩いて向かう。こうした光景は、私にとっても馴染みのあるものでした。

一方で、日常生活の中では、こんな言葉を耳にすることもありました。

「まだ若いから、いざとなったら走れるよ」

「うちは高台にあるから、津波は大丈夫」

しかし、災害は必ずしも自宅にいるときや、避難する準備が整っているときに起こるとは限りません。いつもの避難経路が通れなかったら。家族と離れた場所にいたら。

決められた行動を覚えていることと、予想外の状況で自分の行動を判断できることは、必ずしも同じではありません。


高台に住んでいれば、本当に安心?

私の地元は海に面した地域で、津波への備えとして学校や公共施設などの高台移転が進められてきました。

一方で、観光施設や直売所、日常生活に欠かせない大型スーパーなど、海沿いに立地する施設もあります。高台に自宅があっても、買い物や仕事などで海沿いを訪れることは少なくありません。

つまり、「安全な場所に住んでいること」と「いつでも安全な場所にいること」は違うのです。自宅からの避難経路は知っていても、普段利用するスーパーから最も近い避難場所を知っているでしょうか。

私自身、慣れ親しんだ地域だからこそ、日常生活に潜む危険を見落としてしまうこともあるのではないかと感じています。

もちろん、災害を必要以上に恐れてほしいわけではありません。

大切なのは、起こり得る状況を具体的に想像し、漠然とした不安を日頃の備えに変えていくことだと思います。



避難した後まで考える、防災訓練

従来の避難訓練は、災害発生直後に身を守り、安全な場所へ移動するための大切な取り組みです。

しかし、実際の災害では、避難場所に到着した後も生活が続きます。

避難所が混雑していたら。食料が十分に届かなかったら。配慮が必要な方と一緒に生活することになったら。

こうした状況について考える取り組みも、全国各地で行われています。

例えば、静岡県が開発した「HUG(避難所運営ゲーム)」では、避難者の事情を考慮しながら、避難所の運営を疑似体験します。

また、「DIG(災害図上訓練)」では、地域の地図を使って危険な場所や避難経路を確認し、「クロスロード」では、災害時の難しい判断について参加者同士で意見を交わします。

さらに、避難生活に欠かせない「食」を取り入れた訓練もあります。

北海道北広島市では、普段は学校給食を提供する「防災食育センター」を活用し、災害時の炊き出しや避難所への食事の配送訓練を実施しています。

岐阜県高山市でも、地域住民がパッククッキングによる炊き出しと避難所の設営を体験する訓練が行われました。

こうした取り組みは、災害から逃げることだけでなく、その後の生活をどう支えるかについて考える機会にもなります。

防災訓練の方法は一つではなく、地域や参加者に合わせて、さまざまな学び方を選ぶことができるのです。

参考資料:


いつもの訓練に、少しだけ工夫を

ここまで、さまざまな取り組みをご紹介しましたが、新しい防災訓練を企画することは、決して簡単ではありません。

学校では授業時間の確保や教員の負担、地域では参加者の募集や運営スタッフの確保など、多くの課題があります。

だからこそ、これまでの訓練をすべて新しいものに変える必要はないと考えています。

例えば、いつもの避難訓練を終えた後に、一つだけ質問を加えてみる。

「もし、いつもの避難経路が通れなかったら?」

「もし、避難所で一晩過ごすことになったら?」

それだけでも、訓練は決められた行動を確認する時間から、自分自身の行動を考える時間へと変わるかもしれません。

大切なのは、毎年違う訓練を行うことではなく、毎年の訓練から新しい気づきを得られることではないでしょうか。


白獅子が取り組む、防災の学びを広げる活動

株式会社白獅子でも、従来の防災訓練に新たな学びを加える方法の一つとして、XR技術を活用した取り組みを進めています。

例えば、広島県内では、弊社が納品した「ひろしま自然災害体験VR」が、地域の防災訓練やイベントで活用されています。

2026年7月の北広島町の防災訓練では、自主防災組織のメンバーや子どもたちが土砂災害を疑似体験しました。

また、愛媛大学との共同研究では、中学生が自分たちの地域の危険を考え、防災VRの制作を通じて他者に伝える取り組みも進めています。

こうした活動に共通するのは、技術を使うこと自体を目的とするのではなく、地域の防災教育にどのように役立てられるかを考えていることです。

避難経路を実際に歩く訓練にXR体験を組み合わせたり、体験後に参加者同士で話し合ったりすることで、これまでの訓練をさらに充実させることができます。

私たちは、XRを従来の防災訓練に代わるものではなく、学校や地域が積み重ねてきた取り組みを支える選択肢の一つとして考えています。

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来年も「いつも通り」で終わらせないために

毎年同じ防災訓練を繰り返すことが、悪いわけではありません。

繰り返し練習することで、身を守る行動を身につけることができます。

ただ、訓練を終えたとき、「今年も無事に終わった」で終わってしまっていないでしょうか。

実際の災害では、訓練と同じ状況になるとは限りません。

だからこそ、いつもの訓練に少しだけ新しい視点を加え、想定外の状況について考える機会をつくることが大切だと思います。

毎年同じ訓練を繰り返すことが問題なのではなく、毎年同じ訓練を、何も考えずに終えてしまうことが問題なのではないでしょうか。

これまで続けてきた訓練を、次の備えにつなげるために。

次の防災訓練では、いつもの訓練に一つだけ、新しい問いを加えてみませんか。

株式会社白獅子では、防災訓練や地域の防災イベントで活用できるXRコンテンツの提供・貸出を行っています。


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